湯遊茶々 弐

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三湖伝説

龍の十和田の村娘の間に生まれた八郎(八太郎)は長じてマタギとなるが、ある日仲間と分け入った十和田山中で、仲間の分のイワナも食べ尽くしてしまう。
焼け付くような喉の渇きに三十三夜、川の水を飲み尽くすと、八郎は龍へと姿を変えていた。
龍となった八郎は、嵐を呼び、十和田山頂に湖を作り、主として住み着いたが、熊野から来た僧、南祖坊によって住処である十和田湖を追わてしまう。
(この際、南祖坊も龍へ化身し、七日七晩戦ったと伝えられています)
追われた八郎は日本海近くへ出、津波を起こし八郎潟を作り住処とした。

さて、秋田県仙北の辰子潟(田沢湖)には辰子姫という龍がいた。
辰子姫は元は人間の娘であったが、自身の美しさを永遠のものとすべく観音菩薩に百夜通った。
願いは叶い、永遠の姿は手に入ったが、それは人ではなく、龍の姿であった。
辰子姫は元は池だった場所を広げ、湖とし、住まう事としていた。

八郎潟の八郎、辰子潟の辰子姫は愛し合うようになり、八郎は辰子姫に会うため田沢湖通いをするようになる。
冬の間主が不在となる八郎潟はどんどん浅くなり、逆に田沢湖はどんどん深くなっていったという。

八郎潟が干拓されてしまった現在、八郎は田沢湖辰子姫と共にあるとも伝えられている。

また、ふたたび南祖坊が田沢湖で八郎に戦いを挑むが、今度は破れ、南祖坊は田沢湖へは現れなくなり、八郎と辰子姫は幸せに暮らしている、という伝説もある。

この、十和田湖八郎潟、辰子潟(田沢湖)をめぐる物語をひっくるめて三湖伝説と呼ぶようです。

熊野からの僧侶に地元の若者が敗れる、という下りは、大和朝廷により追いやられた土着民の物語のようでもあります。

しかし、範囲も広大で、各章に別れたこの話は一大叙事詩のようでもあります。
イワナを食べて龍になったという話、日本昔話で見た記憶がありますよ。(確か「八郎潟の八郎」かと)

Wikipedia「三湖伝説」