湯遊茶々 弐

申し込むだけ申し込んでほったらかしでした……。

バスケの才能は知らん、しかし大声を出す素養は絶対にあるはず

乳幼児期の娘の声は相当に大きかったのです。
電車内や、店内に響き渡る娘の声に私も夫も、ちょっとよそのお子さんより大分大きいと思っていたものです。

……が、しかし、羞恥心がブレーキをかけているのか、保育園の年長さんの頃になるとだいぶそれも小さく……。

ですが、毎年やっている発表会の劇でもそれなりに声は出ておりました。

ここは出していい場所。
大きな声の方がよい場所、と、ブレーキがはずれれば絶対に大きな声は出せるはずなのです。

ミニバスは技術よりメンタルだと監督は言っていました。
ならばもっと声を出せと。

バスケの技術や才能やセンスは無いかもしれない。

けれど娘には大きな声があるはずなのです、本来は。

土日もゲームをする機会がありました。

「一本止めるよー!!」

と、行った時、ぞわっとした、鳥肌がたったと、後で娘は言っていました。

そうだよ!
それだよ!

ディフェンスのローテーションで頭がこんがらがったり。
自分のマークマンから離れるのが怖くてすぱっとフォローに出られない。
コートの中が把握できていなくてすぱっとパスが出せない。

それらは試合勘が落ちている事もありますが、
生来のセンスや勝負への飢餓感が欠けているせいもあるかもしれない。

だが声は出せるはずなのです。
今持っているハンドリングやドリブルに監督もコーチも期待してないから。
(そこは練習しないと身につかないものだから)

声を出すのに練習はいらないはずだから。
せめて大きな声を出せ、娘よ。

それだけでも引っ込められる事は無いはずだ。(今娘が一番イヤなのは途中で交代させられる事のような気がするので、でもそうやってビビっていると結局身体が動かなくなってしまうから、せめて声は出し続けて欲しいと、母は声がかれるまで声援を送り続けるのでありました)