湯遊茶々 弐

申し込むだけ申し込んでほったらかしでした……。

こういうのをわかりみがすごい とでも言うのか

薄情

薄情

谷崎賞受賞とか云々をおいて、登場する群馬県内の情景が、すごく、あー、わかるわかる。みたいになりました。

「あの大雪」は、実家周辺も大変降り積もったそうで、記憶に残っているところです。
宇田川、とか、蜂須賀、は、地元ではあまり聞かない名字なのですが、そのあたりも狙いがあったりしたんですかね……。

あまり恋愛とかしないタイプの主人公が、女性と付き合う事になる場面があるのですが、

 こいついいサイコロだな、と宇田川は思った。きちんと1から6まで目が出るサイコロだ。
 なぜそんなことを考えたのかはわからないが、人間関係はかけ算だなあ、とつくづく感じていたのだった。つまらない奴とつき合えばつまらない勘定になるし、分不相応なつき合いをすれば払いきれない。
 おれのサイコロは0と1しかない。

 と、こう、人との関係を描写するのに、サイコロにたとえたり、出る目のかたよりで人間関係を表すのはおもしろいと思いました。

 あと、

吾妻峡のあたりで、クマがいたのってこの辺じゃなかったかと思い出す。宇田川が子供の頃、崖下の洞窟を檻にしてツキノワグマが飼われていた。

 これ、私も覚えてます。

 他にも、車で群馬県内をあちこち走り、その空気感が描き出される感じが実感としてわかるのが楽しいです。

 あと、群馬弁がなっからネイティブ。

 映像にしてしまうと陳腐かもですが、まさに文章で読むからこその味わい深さ。みたいな。