湯遊茶々 弐

申し込むだけ申し込んでほったらかしでした……。

まったく想像もしていなかった

足立区で都内最高齢とされていた男性がミイラ化してみつかったという事件について、もう目からウロコなほどに驚いた。

行方不明ではなくて、自宅にいる家族が亡くなっていて、お弔いをしないという事に。

即身成仏、と、報じられていたけれど、即身成仏した場合は生きているものとして扱われるんだっけか。
たしか高野山には即身成仏された弘法大師奥の院におわしまして、今も人の世を見守っているとか。(都市伝説?)

高野山奥の院の霊廟には現在も空海が禅定を続けているとされる。奥の院の維那(ゆいな)と呼ばれる仕侍僧が衣服と二時の食事を給仕している。霊廟内の模様は維那以外が窺う事はできず、維那を務めた者も他言しないため一般には不明のままである。

wikipedia 空海の項より引用。

そっかあ、だから年金も必要だったのかあ。

……そんな馬鹿な。

年金不正受給だったり、相続税回避の為だったり。

行方不明と報じられている方々もいらっしゃって、もう30年も音信不通など、TVのインタビューを受けている人も。

いっそどこかで生きてくれていたらとさえ思う。
千と千尋の神隠しのように、トンネルをくぐった別世界で。
病の苦しみや、老いによる辛さもない、桃源郷のような世界で。

行方不明だという家族、捜索願も出さないという事は、絶縁状態だったのだろうか。

もうじきお盆、誰にも迎え火を炊かれる事もなく、戸籍上では生きているものと見なされている人がいて、おそらくはどこかで息を引き取られているのかもしれない。
無縁仏として、誰かの手によって弔われたのか。
楢山節考よろしく、自ら姿を消したのか。

人は生命体として一度死に、次は誰もその人を覚えていなくなる事でもう一度死ぬ。
だから、私達が覚えている限りおばあちゃんもおじいちゃんも生きてるんだよ。

そんな風に思っていたけれど、生命体としての死の後、実在しない年金受給者として生き続けていくという事に、既に召されてしまった人は何を思うのか。
思考する為の器官が無い今、無意味な問いかけかもしれないけれど。